ハンドメイドの販売活動、確定申告は必要?

 もうすぐ、2020年分の確定申告が始まります。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、ハンドメイドの販売活動や講師活動が制限され、ネット販売などや、ZOOMなどを活用してリモートレッスンを導入した人も多いのではないでしょうか。

 ハンドメイドに関する活動も確定申告は必要なのでしょうか?答えはもちろんYESです。

 専業でやっている人は年間(1月1日から12月31日までの集計分)に38万円以上の利益がある場合、副業でやっている人は年に20万円以上の利益がある場合に確定申告をしなければなりません。それほどの利益に達していない人でも、活動の中で源泉徴収をされた報酬を受け取った人は確定申告によって税金が戻って来ることがあります。気をつけたいところは「売上」ではなくて「利益」であることです。「利益」は「売上」から「必要経費」を差し引いた金額となります。

 ハンドメイド作家活動では、しっかりと確定申告をしていない人も多いと聞きます。ハンドメイド作家事情に詳しいフリーライターのアレクサンドリーネ瀧山さんは「確定申告のことは良くわからないからと、かなりの利益を出しているのに確定申告をしないまま何年を過ごしている人が意外と多いのです。税務署に呼び出されて活動を始めている期間の分の申告をしてくださいと数年分の納税をまとめて行う必要が出てくることもあります」と確定申告をしない人を心配しています。







赤字でも帳簿を付ける義務がある

 一番気をつけておかなければならないことは「帳簿付け」だと言います。「意外と知られていないことですが、2014年から『帳簿を付ける義務』が明確化されています。これは本業であれ副業であれ、何らかの利益を出している人すべてが対象となります。税務署に呼び出されて数年分の税金を納めるよう申告しようと思っても、領収書を捨ててしまったり、何も帳簿をつけていないと、かかった経費を証明することができませんので、実質的に多く納税しなければなりません。たとえ赤字であったとしても赤字であることを帳簿で示すことができなければならないのです」と瀧山さん。

ハンドメイド活動で経費となるものは?

 「収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)」は7年間の保管、「業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類」は5年間の保管義務があります。ハンドメイド作品の販売活動で「経費」となるものといえば下記が考えられます。

・材料の仕入れにかかった費用
・作品制作に必要な道具代
・ラッピング、パッケージにかかった費用
・イベントの出展料
・レンタルボックスの使用料
・出展イベントの交通費・宿泊費
・名刺、ショップカード等の印刷代
・ホームページのサーバー代
・ドメイン取得、維持費
・商品発送の送料
・ハンドメイド販売サイト等の販売手数料
・コンサルタント料
・セミナー参加料(とその交通宿泊費)
・活動に関する書籍代 など

 講師活動ならば、教室を開く場所代やその交通費、民間資格の取得費用や協会の会費なども対象となるでしょう。活動にかかった経費の領収書・銀行振込明細書を整理して保管し、帳簿をつけておかなければなりません。

 「趣味ベースでやっている人のほとんどは、道具や材料をついつい買い過ぎてしまうという人も多いので帳簿を付ければ赤字という人が多いと思います。どのくらい赤字になっているのかを確認する上でも帳簿付けは大事ですね」と瀧山さん。

 また、アトリエで教室などを開いていない限り、自宅の家賃や光熱費は経費にはなりません。また、支払い口座や契約名義が本人ではない電話料金やインターネットのプロバイダー料金も費用としては一部を仕事で使っていたとしても認められないと考えた方がよいでしょう。







コロナ禍でのネット活用導入経費は?

 新型コロナウイルス感染症の影響で作品のネット販売や、ZOOMなどを活用したリモートレッスンの開始、YouTubeへの参入など、インターネットを活用して活動を広げた場合は、導入にかかる諸経費も対象となります。

・カメラ
・撮影用照明器具
・撮影用小道具
・画像編集アプリ など

持続化給付金で救われた人も

 毎年きちんと確定申告をしていた人は、イベントの中止やハンドメイド教室の自粛などで大幅に売り上げが減った2020年、「持続化給付金」を申請(個人事業の場合は最大100万円、雑収入として計上)できた人も多いことでしょう。今後もコロナ禍において何らかの補償や給付金の制度が導入されることがあるかもしれません。売り上げや収入の増減を証明する書類づくりのためにも確定申告はきちんと取り組みたいですよね。

(ライター 福住由樹)2018年2月17日配信/2021年1月8日更新


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