第4回品評会 最高金賞受賞 hottaraciiさんインタビュー(後編)

 消しゴムはんこファンの皆様、ごきげんいかがでしょうか。

 「消しゴムはんこの彫りの美しさとデザインを競うコンテスト」として開催される「国際イレイサースタンプ品評会」。6月2日に開催された第5回品評会において、chimney hankoさんが最高金賞に輝いたのは記憶に新しいところですね。

 今回は、前回に続き昨年12月2日に開催された第4回国際イレイサースタンプ品評会において最高金賞を受賞されましたhottaraciiさん(現:hottaracii twoさん)の受賞者インタビュー後編をお届けします。


第4回国際イレイサースタンプ品評会 最高金賞受賞

hottaraciiさん


(中編からのつづき)

― 前回のインタビュー(編注:第3回品評会受賞者インタビュー)でお伺いした際に「根っからのアナログ人間」とおっしゃっていましたが、先ほどお話しいただいたように今回は除光液での転写を選ばれました。それはなぜでしょうか?

hottaraciiさん:
 今回は図案が細かい事もあり転写をミスすると一からまた図案を描く事になるので、初めから除光液転写をするつもりで図案を仕上げました。

― なるほど、確実性を優先するための選択だったんですね。次に、今回制作に使用した道具を教えていただけますか?

hottaraciiさん:
 今回はほぼデザインナイフのみで製作しました。ちょっとだけ彫刻刀も使っています。

― では、彫るための道具以外で制作に欠かせない道具類や、今回新たに導入した道具類はございますか?

hottaraciiさん:
 彫る以外の道具は特にコレというものはなくて、強いて言うなら細かい部分は昼間の自然光で彫るよう心がけました。夜など照明の下だと印面がツヤツヤ反射してしまい彫りにくいのですが、自然光だと程よい光量で目にも優しくて進みも良いように感じるので。

― これは制作における大きなヒントになるポイントですね。おっしゃるとおり、人工的な光より自然光の方が目に優しく変な反射をすることもありませんので、制作にはピッタリですよね。続きまして、今回作品に使用した消しゴムの銘柄を教えていただけますか?

hottaraciiさん:
 昔からずっとはんけしくんソフトを使い続けています。

― 普段作品を制作する際に使用する消しゴムも同じ銘柄なんですか?

hottaraciiさん:
 普段も同じくはんけしくんソフトで、実はこれ以外使った事がありません。

― そうなんですね。それはなぜですか?

hottaraciiさん:
 使い続ける理由としては、不満もないし彫りやすいし真っ白な消しゴムが好きなのもあり他を使う事なく今に至ります。何においてもですが、一度気に入るとずっと使い続ける性格なのでそれに関してはこれからも変わる事は無いです。もし今後変化があったとしてもソフトからハードになるくらいかと思います。

― ありがとうございます。今のお話から、hottaraciiさんの堅実で実直な一面を窺い知ることができたように思います。ところで、前回のインタビューで「消しゴムはんこを始めた時からずっと持ち彫り」とおっしゃっていましたが、今回の作品もすべて持ち彫りで仕上げたのでしょうか?

hottaraciiさん:
 今回も持ち彫りです。慣れたもので2回目ともなるとウェイターが使うトレンチを持つ感覚で手首をくるくる捻って彫れるようになりました。

― それはすごいですね!何事もやはり慣れなんですね。ちなみに今回の作品の印影に使用したインクと、印面の着色に使用したインクは何でしょうか?

hottaraciiさん:
 versa craftのエスプレッソを愛用しています。使い心地も色味も一番好きなので常に補充用のインクもストックしています。

― インカーのストックもお持ちなんですね。こうしてお話をお伺いしていると、お使いになっている消しゴムや道具類も含めて、制作に使用されているお気に入りのアイテムに絶大な信頼を寄せている様子が手に取るように伝わってきます。


― 続きまして、作家としての現在の活動について教えてください。併せまして、普段の作品制作はどのような環境で行っているのかについてもお話いただければと思います。

hottaraciiさん:
 作業は毎日家事と育児の合間に行っています。上の子が幼稚園に行っていて、下の子はまだ未就園児なので作業できても日に1時間あればいい方です。特に忙しい時は家族が寝静まった後に夜な夜な制作時間を確保して制作しています。

― ありがとうございます。限られた時間を最大限活用するための工夫をしっかりなされているんですね。では次に、皆様にご紹介したいと思いますので、主に情報を発信しているSNSアカウントをぜひ教えていただきたいのですが。

hottaraciiさん:
 主にInstagramにて活動しています。アカウントURLはこちらです。
Instagram▶︎https://www.instagram.com/hottaracii
 Instagramではフルオーダー作品やお知らせや新作の発表の場とさせていただいています。

 また、minneやcreemaでは受注生産販売しています。
minne▶︎https://minne.com/@t00y-am-a
creema▶︎https://www.creema.jp/creator/523737/item/onsale

― ちなみに、第3回品評会で金賞を受賞した後は受注数の増加やSNSのフォロワー増加等の変化はありましたか?

hottaraciiさん:
 悲しきかな、全くなんです(笑)。

― えぇ?そうなんですか??

hottaraciiさん:
 はい・・・minneやcreema、Instagram全てにおいて最高金賞を受賞した後も飛躍的にはフォロワーは増えてません。これは紛れも無い事実なので、結果を真摯に受け止め今後の活動を頑張りたいと思います。

― これからの活動におけるポイントのひとつ、という感じですね。では、活動の話が出ましたので、イベント出展等も含めた今後の活動予定を教えていただけますか?

hottaraciiさん:
 今後も可能な限り東京アートクラフトフェスタにパートナーのchimney hankoのチムニーちゃんと共同出展していく予定です。

― ありがとうございます。イベント出展は多くの愛好家の方にご自身の作品をアピールできる絶好の機会ですからね。それから、hottaraciiさんが作家として目指すところや目標となることはございますか?

hottaraciiさん:
 作家として目指すところとしては、様々なモチーフや雰囲気のデザインを作り出していけるtransform(変幻自在)な作家になりたいです。それは消しゴムはんこだけにとどまらず元々好きなデザインやイラストなどにおいてもそう思っています。この考えは欲張りなのかもしれませんが、その時私がどうしたいかを自分に問いかけてしたいと思った事を掻い摘んで取り組みたいと考えています。
 また、今年からはデジタルツールを揃えてロゴデザインやデジタルイラストにも力を入れています。なので目標は消しゴムはんこ作家&クリエイターとして活動していく事です。

― これはとても楽しみなお話ですね。hottaraciiさんなら成し遂げることができる、そんな気合いといいますか心意気が感じられます。ということは、どなたか目標とされている作家の方がいらっしゃるのでしょうか?

hottaraciiさん:
 いえ、特に目標とする作家さんはいません。

― なるほど。ちょっと意外ですね。

hottaraciiさん:
 目標にしてしまうとその人との差を感じ挫折したり嫌になったりしてしまいそうなので、〝自分は自分〟というスタンスでやっています。どちらかというと「すごい!」と思った人にどれだけ近づけるか?を目標にしていますね。打たれ弱くて負けず嫌いと言うめちゃくちゃめんどくさい性格です(笑)。

― いえいえ、全然めんどくさくないですよ(笑)。ただ、こうしてお話をお伺いしていて、hottaraciiさんはアーティストとしての気質や雰囲気というものをしっかりお持ちで、それらが創作活動の核となっているということを強く感じますね。ところで、第3回品評会の金賞受賞と今回の最高金賞受賞で、hottaraciiさん自身の消しゴムはんこに対する見方やスタンスの変化はありましたか?

hottaraciiさん:
 金賞受賞&最高金賞受賞により消しゴムはんこに対する見方やスタンスの変化は特に無いです。ただただ「うまくなりたい」の気持ちだけで今日までやってきました。

― 頂点を極めた今でもたゆまぬ向上心をお持ちなんですね。素晴らしいです!ちなみに現在の心境として、第5回国際イレイサースタンプ品評会へのエントリーは考えていらっしゃいますか?

hottaraciiさん:
 品評会へは常に参加していきたいと思っています。その時の自分の実力を試せるまたとない場なのでよほど何かない限り出し続けます。(編注:hottaraciiさんは第5回品評会にエントリーされ、見事金賞を受賞されました。hottaraciiさんより「連覇は出来ませんでしたが今回は自分の好きなスタイルで挑め上位入賞出来た事がとても嬉しいです」とのお話をいただきました。近日公開予定の第5回品評会受賞者インタビューでもそのあたりについてお伺いしております。どうぞお楽しみに!)

― 最後になりますが、消しゴムはんこ愛好家の皆様や品評会で最高金賞を目指す作家の皆様、そして品評会のエントリー作品を見て「自分も挑戦してみたい」と考えている皆様など、消しゴムはんこに携わるすべての方に向けたメッセージをいただけますか?

hottaraciiさん:
 あれこれ言える立場でもないので何を伝えていいのか難しいところですが…。

― どのようなことでもよろしいですよ(笑)

hottaraciiさん:
 シンプルではありますが、これから品評会へチャレンジする方へは、とにかく普段作る事のないハガキサイズの作品作りや作品を通して自分を表現する事を楽しんでいただければと思います。結果がどうあれ品評会に参加する事により得られるものはとても大きいと思っています。自分のためになる成果を得られる場なので是非挑戦していただきたいです。

 そして、愛好家の方へはただただ感謝を述べたいです。買って下さる方がいないと私たち作家は成り立ちません。ただ作って満足しているだけでは何も生まれない世界。購入して下さる方がいるからこそ、お客様に満足していただきたい気持ちにより自分の技術を上げる事が出来ています。元々消しゴムはんこが好きな方にはこれからも共に消しゴムはんこ界を盛り上げていただきたいです。

 それから、まだ消しゴムはんこを知らない方を取り込めるように私なりに活動をしていきたいと思っています。まだまだ作家としても人間としても未熟な部分は多々ありますが、これからひとりでも多くの人を魅了できる作品を作り出せる作家を目指していきます。

― インタビューの最後をビシッと締めていただく、深く思慮に溢れるメッセージをありがとうございます。この度の最高金賞受賞、本当におめでとうございます。今後のご活躍を期待しております。

hottaraciiさん:
 この度は名誉ある賞をありがとうございました。

<了>


次回「第6回国際イレイサースタンプ品評会」は2019年12月8日「東京アートクラフトフェスタvol.2」内で開催!
いま消しゴムはんこ界で最も熱い注目を集めるコンテストにあなたも作品を出品してみませんか?
出品方法は東京アートクラフトフェスタ公式サイトをご覧ください。

https://www.artcraftfesta.com/contest


(国際イレイサースタンプ品評会開催委員長 中鉢久夫 / 2019年8月26日配信)

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