第6回品評会受賞者インタビュー 【山田歓多さん】

 消しゴムはんこファンの皆様、ごきげんいかがでしょうか。

 昨年12月に開催された「第6回国際イレイサースタンプ品評会」において、最高金賞ならびに金賞を受賞されました作家の皆様に、受賞の喜びなどをお伺いしてお届けしている「受賞者インタビュー」を今回も実施いたしました。

 今回皆様にご紹介するのは、初エントリーで品評会史上最年少の金賞に輝きました「山田歓多さん」のインタビューです。


第6回国際イレイサースタンプ品評会
金賞 山田歓多さん

Instagram:https://www.instagram.com/shizimi_53/


― この度は金賞受賞おめでとうございます。初エントリーでの金賞受賞に加え、品評会史上最年少の受賞作家となりました。その点も含めて、受賞が決まった時の気持ちを教えていただけますか?

山田歓多さん:
 ありがとうございます。コンテストについては、どのような方々が参加されているのかもわからず、受賞できるとは思っていなかったので、初めは驚きました。今回はアートクラフトフェスタに行くことができませんでしたが、次回には時間に余裕も持てると思うので、ぜひ会場に足を運んで、他の作家さんの作品にもふれてみたいと考えています。

― はい、ぜひ会場にお越しいただいて他の作家さんの作品をご覧いただきたいと思いますし、出展されている作家さんのブースにも立ち寄っていただければと思います。では早速ですが、今回の作品についてお伺いします。作品のタイトルにもありますが、今回は「江ノ電」と「海」をテーマに制作されています。この、「江ノ電」と「海」をテーマに選んだ理由を教えていただけますか?

山田歓多さん:
 小さい頃から電車は大好きだったので、いつか自分でタイトルを決めて何かを作るときには鉄道を主役に持ってこようとは考えていました。始めから海と江ノ電を合わせて題材にするつもりはありませんでしたが、去年の春頃に出掛けたときに「いいかもしれない」と思ったのですぐに作ろうと決めました。

― なるほど、ずっと構想をお持ちで、お出掛けがきっかけでひらめいた・・・ということですね。ところで今回の図案について、細部まで非常に丁寧に描き込まれていますが、デザイン画の制作にはどのくらい時間がかかりましたか?

山田歓多さん:
 写真を印刷し、直接トレーシングペーパーを重ねて転写したので、下絵を一から考えて描く、という作業はほとんどありませんでした。

― そうなんですね。

山田歓多さん:
 江ノ電を主役にした作品は制作に取りかかる半年ほど前から考えており、実際に写真を撮りに行ったので、走っている江ノ電を上手く写真に収めるのにずっと踏切の前で構えて待っている方に時間が掛かりました。

― シャッターチャンスはほんの一瞬ですからね(笑)。納得のできる写真が撮影できるまで相当時間がかかったことと思います。ちなみに、写真からデザイン画を制作する際に苦労したことや工夫したことはございますか?

山田歓多さん:
 まだまだ自分の技術の面でも表現が不足しているところがあるので、まずは「こんな感じになったらいいな」とデザインしてみて、後は彫りながら、もっと工夫出来そうだったら少し変えてみたり、難しいと思ったら、表現を削ったりしてすすめていきました。

― なるほど、デザイン画を転写した後からも細かい部分の表現を考えながら制作を進められたんですね。ところで、デザインの右下に「Kamakurakokomae(鎌倉高校前)」とあったので調べたのですが、鎌倉高校前駅の近く・・・ちょっと七里ヶ浜駅寄りにある踏切、漫画「スラムダンクの聖地」・・・と一致しました。歓多さんが生まれる前の漫画になりますが「スラムダンク」はご存知ですか?(笑)

山田歓多さん:
 知りませんでした。名前しか聞いたことしかありません…。実際に写真を撮りにたまたま行ってみると、確かにその影響なのかアジア人の観光客がとても多くて撮影は大変でした(笑)

― アジア各国でのスラムダンク人気はものすごいので観光客も多いとは聞いていましたが、やはりそうですか(笑)。そんな状況では、さすがに「撮影するからどいてください」とは言えないですもんね(笑)


― 先ほどのお話にもありましたが、今回はトレーシングペーパーを使用して図案の転写を行ったそうですね。影の表現も含め、これだけ繊細な図案の転写をどのように行ったのかとても興味がありますので、使用した道具類も含めて教えていただけませんか?

山田歓多さん:
 影の部分は、他のはっきりとした面や線に対し、少し薄く描くことで、制作の際に自分が思い出せるぐらいの目印程度に陰影をつけておきました。使用した道具は、鉛筆、トレーシングペーパー、転写の際にずれないようにするためのマスキングテープのみです。

― ありがとうございます。消しゴムはんこの転写用として普通に使われている道具類しか使っていないんですね。それと、今お話しいただいた影の表現も含めた石垣の雰囲気や光の当たる場所と影となる部分の抑揚、そして作品全体の奥行きの出し方等、非常に細かい彫りでとても良いバランスを生み出していると感じました。そこでお訊きしますが、これはあらかじめ「この部分はこのように彫る」と決めて制作されたのでしょうか?それとも、ひとまず大まかに制作して一度印影を捺し、印影を確認して「この部分はもう少し彫った方が良いかも」というふうに、少しずつ修正していったのでしょうか?

山田歓多さん:
 実際に押して、印影を確認することはありませんでした。いちいちインクを印面にのせていると、大まかな下絵であっても、少し作業に支障が出てしまったので、鉛筆を斜めに印面に滑らせることで、色(黒)の付いた部分とついてない部分とで、大雑把に確認して全体として少しずつバランスをもたせました。

― ありがとうございます。全体としてのバランスを保ちながら、やりすぎにならないちょうど良いところでまとめる・・・簡単なようで非常に難しいことをしっかり仕上げているところは素晴らしいですね。話は変わりますが、投票用紙には作品の選考理由を記入する欄を設けておりまして、この作品に投票された方の選考理由の中に「直線を大事にしているから」と書かれたものがありました。光と影の表現など主に直線を使っていることに気付き「なるほど!たしかにそうだ」と私は思ったのですが、この点についてはどのよう思われますか?

山田歓多さん:
 僕もそこに関しては気にしたことはなかったので、見直してみて「確かにそうだったかも」と思いました。彫刻刀で作るときでも、曲線の表現はあまり用いることもなかったのと、技術的な限界もまだあったので直線を多く用いることになったのだと思います。

― ありがとうございます。「技術的な限界」とおっしゃっていますが、多くの表現を直線で行ったことで、むしろ作品が持つ良さをグッと引き出せたのではないかと私は感じました。ところでズバリお伺いしますが、エントリー作品の完成までどのくらい時間がかかりましたか?

山田歓多さん:
 下絵を完成させた後は、勉強の合間を縫って少しずつ制作したので半年ほどかかりました。

― 勉強は絶対におろそかにしてはいけませんしね。受験を控えた非常に忙しい中での作品制作、本当にお疲れさまでした。


― 続きまして普段の制作活動についてお伺いします。趣味で消しゴムはんこを制作されているとのことですが、普段から今回のエントリー作品のような大きめの作品を制作されているのでしょうか?

山田歓多さん:
 普段は手持ちサイズのはんこをつくっています。今回のような大きさのはんこは今までに6回程作ったことがあります。

― そうなんですね。ところで、同級生や同じ学内の生徒さんで消しゴムはんこをされている方はいらっしゃいますか?それと、課外授業やクラブ活動の一環として「消しゴムはんこクラブ」等が存在する小学校・中学校があるという話を耳にしたことがあるのですが、通われている学校にはそのようなクラブはございますか?

山田歓多さん:
 同級生の友達などでやっている人もクラブなどはありません。そのようなクラブは聞いたことがないので、気になっています。

― そうなんですね・・・実は過去の品評会で高校2年生の方が金賞を受賞したことがありますし、一部の学校では授業に取り入れたりしているところも存在すると聞いていますので、10代の消しゴムはんこ愛好家の方って結構いるのかな?と思ったんですけどね・・・。では気を取り直して(笑)、今後消しゴムはんこ制作家・または愛好家として、どのような活動をしてみたいか教えていただけますか?

山田歓多さん:
 本当に今まで、ただ趣味として続けてきた消しゴムはんこでしたが、今回のコンテストをきっかけに、消しゴムはんこを通じた様々な活動について知ることができました。消しゴムはんこ作家などとしての活動は考えていませんが、色々な表現の機会を通してどのような活動がしたいか考えていきたいです。

― ありがとうございます。では最後に、消しゴムはんこ以外のハンドメイド・ハンドクラフトホビーのジャンルで、気になっていたりチャレンジしてみたいと考えていることはございますか?

山田歓多さん:
 ハンドメイド・ハンドクラフトホビーについてはあまり詳しくないので、次回、参加した際に様々な活動を知って考えてみたいと思います。

― そうですね、あせらずにじっくり考えるのは良いことだと思います。これからも学業に影響が出ない範囲で消しゴムはんこ制作を楽しんで続けていただけたら嬉しいです。本日はお忙しいところ本当にありがとうございました。そして史上最年少の金賞ならびに特別賞2賞の受賞、本当におめでとうございました。

山田歓多さん:
 ありがとうございました!


【特報】


2020年5月13日18:55より放送のNHK Eテレ【沼にハマってきいてみた「うるせぇトリ登場!スタンプ特集」】に山田歓多さんが出演します!どうぞお見逃しなく!!
番組詳細は下記URLをチェック:

https://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2020-05-13&ch=31&eid=34802&f=4984

山田歓多さんのインスタグラムはこちらから!

https://www.instagram.com/shizimi_53/


第7回国際イレイサースタンプ品評会は2020年11月15日開催!
あなたも金賞を目指してみませんか?
詳しくは「国際イレイサースタンプ品評会」公式サイトをご覧ください

https://www.artcraftfesta.com/contest


(国際イレイサースタンプ品評会開催委員長 中鉢久夫 / 2020年5月11日配信)

コメントを残す