コルクの持ち手を作ってみる(後編)

 前回は印影を捺す面に着色するところまで加工を行ったコルクの持ち手。

 今回は、ここから一気に完成までこぎつけたいと思います。


~着色面をコーティング~

 まずは着色面のインクが乾いて色移りしないか確認します。その後、「デリカータ ゴールデングリッツ」を使用して印影を捺します。

 確実な作業を行うことと乾燥不良による無用なトラブルを防止するため、着色面・印影ともに乾燥時間を丸一日(24時間)確保しました。


 インクがしっかり乾燥していることが確認できたら、着色面にこれを塗っていきます。

木工用ボンド

 「え?」「大丈夫なの?」という声がPCモニター越しに聞こえてきそうですが、気にせず塗り進めていきます。

 着色面が木工用ボンドですべて隠れるように、なおかつできるだけ均等な被膜となるよう塗っていきます。木工用ボンドは独特な匂いがありますので、換気を行いながら作業するよう心がけてください。

 塗り終わりました。この状態で24時間放置します。


~乾燥すると・・・~

 さて、こちらが24時間経過した状態です。

 木工用ボンドの色が消えて透明になり、着色面に艶のある被膜ができています。これは、木工用ボンドの「乾燥すると無色透明になる」特性を活かして、接着剤ではなく被膜形成材として使用した例になります。レジンやエポキシ樹脂でコーティングする感覚に近いイメージですね。

 拡大してみましょう。





 塗布した際の凹凸やコルク表面にある微細な穴から出た気泡が見られますが、つやつやしている様子がお分りいただけると思います。


 今回は「コルクの液体をほとんど吸収しないという特性を利用して、コルク表面に着色して保護のためのコーティングに木工用ボンドが使用可能か?」ということを実験してみましたが、木工用ボンドをUVレジンや二液混合型エポキシ樹脂等に置き換えることもできると思います。
 硬化促進に紫外線が必要なUVレジンや乾燥・硬化に注意が必要な二液混合型エポキシ樹脂と比較すると塗って乾くのを待つだけというお手軽さはあるものの、美しく仕上げるのが難しいことや耐水性が全くないこと(木工用ボンドは乾燥後でも水に溶けます)が欠点として挙げられます。

 木工用ボンドを使用したコーティングは、限定的用途ながら可能性を秘めた手軽にできる表面保護加工のひとつの方法といえるのではないかという思いを感じた検証でした。


(ライター:今福大文 / 2017年10月12日配信)

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