売上2万・経費5万、赤字でも楽しい「作家活動」

 消しゴムはんこをはじめ、ハンドメイド作品の制作や販売、講師活動を通じて充実した毎日を送る女性が増えている。ハンドメイド作家ウォッチャーがそんな女性たちの本音に迫る、イマドキの作活(作家活動)事情をお届けするルポタージュ『ハンドメイド作活白書』。

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 Bさん(仮名)は地方都市に住む20代の女性。年に数回ハンドメイドイベントなどに出展して消しゴムはんこ等の販売を続けている。昨年からは東京や横浜の大型ハンドメイドにもひとりで出展するようになった。

 「もう毎回行くだけで大赤字ですが、旅行だと思って楽しんでいます。出ている作家さんもクオリティが高くて勉強になるし、地元では見かけないようなジャンルのものやすごくかわいい作品もあって、見ているだけでも刺激になります」

 Bさんの地元から首都圏の大型イベントに出展するためには、交通費や宿泊費、食事代等で3万円ほどかかるという。また、大型イベントは1日の出展料が約1万円で、他にも展示用の布や什器をよく買い替えるため、販売作品の材料費と合わせても1度の出展で合計5万円以上の出費になるという。

 「ブースは毎回いろんなことを試したくてついつい布とかカゴを買い替えちゃうんです。旅費も新幹線を深夜バスに変えたりとか、もっと安いホテルを探して出費を抑えることもできると思いますが、旅行だと思っているところもあるので贅沢かもしれないけど安心なところを選んでいます」とAさん。

 売上は良いときで2万円前後。黒字になったことは一度もなく、同年代の地元の友人たちにも不思議がられるという。

 「儲からないのによくやるねとか、え~?!まだやってるの~?と友達には笑われたりとか、ちょっとバカにされているところもありますが、週末を有意義に過ごせていると私は思っています。儲けとかじゃなくて、自分が作ったものを自分で売るということが好きなんですよね」

 Bさんは「退屈」だと嘆きつつも県外にあまり出ない友人たちの価値観こそ不思議に思っている。首都圏のイベントには毎回ひとりで出展しているが、イベントでは同じようにひとりで地方から出展している女性と仲が良くなることもあり、SNSで交流や情報交換を続けているという。

「行くことも楽しいのですが、出展申込をしてホテルを探して会場までの行き方を調べたり、イベントの後にどこで何しようかなとか。どんな作品を作ろうかなと考えたり、計画を立てている時間も楽しいです。結婚したら変わるのかなと思いますが、しばらくは続けていきたいです」

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アレクサンドリーネ瀧山:ハンドメイドの世界をウォッチするライター。
※記事中のコメントは取材協力者の主観に基づくものです。また協力者の意向によりプロフィール等には一部フィクションが含まれている場合があります。

(ライター:アレクサンドリーネ瀧山/2017年9月15日配信)

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